陶板浴(とうばんよく)とは、温められた陶器製のタイル(陶板)の上に横になり、体を芯から温める温浴法です。サウナや岩盤浴と似ていますが、比較的低い温度と低い湿度が大きな特徴で、体に負担をかけずにリラックスしながら温まることができると注目されています。
多くの施設では、室温を40~45℃程度、湿度を10~30%程度に設定しています。この乾いた空気環境は、息苦しさを感じにくく、高温多湿が苦手な方でも快適に利用できる利点があります。利用者は、バスタオルなどを敷いた陶板の上に十数分~数十分横になるのが一般的な入浴方法です。

陶板浴のメカニズムと期待される効果
陶板浴の最大の特徴は、陶板から放出される遠赤外線にあります。遠赤外線は、体の表面だけでなく、深部まで熱を届ける性質があり、内臓や骨までじっくりと温めることができると言われています。
体を内側から温めることにより、以下のような様々な効果が期待されています。
- 免疫力の向上: 体温が上昇することで、免疫細胞の働きが活性化されると言われています。
- リラクゼーション効果: 低温でじっくりと体を温めることで、心身ともにリラックスし、自律神経のバランスを整える助けになるとされています。特に、副交感神経を優位にし、心身を落ち着かせる効果が期待できます。
- 血行促進・新陳代謝の活性化: 体が温まることで血管が広がり、全身の血行が促進されます。これにより、酸素や栄養素が体の隅々まで行き渡りやすくなり、新陳代謝の活性化にも繋がります。
- デトックス効果: 発汗作用は岩盤浴ほどではありませんが、じんわりと汗をかくことで、体内の老廃物の排出を促すと言われています。
- 抗酸化作用: 一部の陶板浴施設では、「抗酸化工法」と呼ばれる特殊な技術が用いられています。これは、建材や陶板に抗酸化作用を持つ溶液を練り込むことで、体内の活性酸素の働きを抑制し、老化や生活習慣病の予防に繋がる可能性があるとされています。
岩盤浴との違い
陶板浴と岩盤浴は、温かい床に横になるという点で共通していますが、いくつかの重要な違いがあります。
特徴 | 陶板浴 | 岩盤浴 |
主な素材 | 陶器製のタイル | 天然の鉱石(花崗岩、麦飯石など) |
温度 | 40~45℃程度(比較的低い) | 45~60℃程度(比較的高め) |
湿度 | 10~30%程度(低い) | 60~80%程度(高い) |
主な目的 | リラクゼーション、免疫力向上、体の芯からの温め | 大量の発汗、デトックス |
体への負担 | 少ない | 比較的大きい |
神経への作用 | 副交感神経を優位にする傾向 | 交感神経を刺激する傾向 |
簡単に言うと、高温多湿でしっかり汗をかきたい場合は岩盤浴、低温低湿でリラックスしながら体を芯から温めたい場合は陶板浴が向いていると言えるでしょう。
体に負担が少ないため、高齢者や体力に自信のない方でも利用しやすいのが陶板浴の魅力の一つです。日々の疲れを癒し、心身のコンディションを整えるための新しい選択肢として、一度試してみてはいかがでしょうか。